しんやさとしの綴記

就活に失敗し、理系院生となった僕が、web企業に文系就職する話と、してからの話。就活生はsiiniusという就活支援サイトもご覧あれ。

ヒトカラを知り合いに見られた話

 

2017年7月 神奈川県海老名市 某所

 

僕は1人、電車を降りて駅近くにあるカラオケ店に向かった。いわゆる、ヒトカラをしに行った。

 

一応言っておくと、僕のヒトカラ歴は長い。
高校1年の時からおよそ1ヶ月に1度の頻度でヒトカラに行っている。別に友達がいないとかそーゆーんじゃない。ヒトカラにはヒトカラの、以下のような良さがある。

 

①歌唱練習
オール採点。練習してからでないと人前で歌うなんてとてもできない。下手だけどどうしてもみんなの前で歌いたい曲については「これ初めて歌うわ〜!」とか言ってハードルを下げる。

 

②時間効率化
2人でカラオケに行くより1人でカラオケに行った方が同じ値段で2倍も歌える。これが素晴らしい。

 

③ストレス発散
言いたいことも言えないこんな世の中じゃ、、、POISON

 


とまぁ、こんなメリットがある。

 

とはいえ、デメリットももちろんある。

 

それはカラオケ店に入った時に店員さんに「1人です」と言った時の恥ずかしさ。

 

ただ、ヒトカラ歴8年の僕からすればこのやりとりももう慣れた。所詮は1分程度のやりとり。店員さんからの印象など、僕の人生には1mmも影響しない。


そう思ってドアを開け、いつものように受付につくと、目の前には知った顔があった。

 

 

(グガッッ、、!こ、こいつ、、!)

 

 

(ま、まさか、、山崎!?)

 

 

(いやいや、もう24だろ俺達、、!そりゃ俺は院生だからまだ学生だけど、お前違うだろ絶対、、!なんで、、バイトか、、!?、、く、見られた、、1人で来てるところを、、!)

 

 

山崎は中学の同級生で、卒業以降会っていなかった。どちらかと言えばチャラチャラしてる系男子で、コミュニティの幅は広い。こいつに弱みを握られれば即いじられ、拡散される、そんなやつだった。はっきり言って苦手。

 

そんな山崎が、1人で来た僕を見て笑みを浮かべた。明らかに一般店員のそれとは違う笑み。

 

(こいつ、、俺を覚えてる、、!そして拡散される、、!いや、この際拡散はいい。。とりあえずこの気持ち悪い空気から早く脱したい、、!)

 

僕は一般客と一般店員のやりとりを意識してあくまで自然に振舞ってワンドリンクと機種、時間を指定した。

 

「久しぶりだな、元気だった?」

 

にもかかわらず、こいつは話しかけてきた。

 

「え、お、おう元気だった!山崎は?」

「おう、元気だったよ」

「そ、そっかー!」

 

すごくにやにやしている山崎。

 

(なんなんだこいつは。早く事務仕事済ませて部屋に案内してくれ。友達いないみたいに見んな!)

 

しばらくして部屋の番号を知らされ、その部屋に移動し、ドアを開けた僕は即座にソファに寝そべった。

 

(、、、、帰りたい。)

 

 

一気にカラオケのやる気が削がれた僕だが、時間を無駄にしても仕方ない。ロック系ソングでテンションを上げにいく。そう、部屋に入ればこの空間は僕だけの世界なのだから。

 

 

いくか一発、、!前前前世、、!!!

 


しかし君の名は。を彷彿とさせるこの歌う僕の前に、またしてもそいつは現れた。

 

「ワンドリンクでーす!」

 

(ガッ、、!サビのところで、、!!)

 

(またお前か山崎、、てかお前受付だったじゃん!他の店員何やってんの!?)

 

サビのタイミングだと気づき、すごくにやにやしている山崎。

 

「それではごゆっくりー。」

 

山崎はそう言って出ていったが、1曲を無駄にされた感は否めない。

 

ただこれでもう店員がこの部屋に入ってくる確率は0になった。もう大丈夫。大丈夫だ。

 

(いや、結局最後の受付でお金を払う時にまた会うのか、、いや、所詮は事務作業、、20秒くらいで終わらせよう、、)

 

少し気持ちを取り戻し、再びカラオケを再開する。50分ほど経ち、10分前を知らせる電話が鳴った。

 

 

(、、どーせ山崎が出るんだろ、、、いーや、トイレに行ってたってことで無視しよう、、)

 

 

30秒ほど鳴り続けた電話が止み、落ち着いて最後の選曲をした。

 

(最後はアイドル系で終わらせようか。最後にふさわしく、声を枯らすように。)

 

AKB48の中でも特に好きな曲、「ポニーテールとシュシュ」を入力し、最高にハイなテンションで歌っている僕のところに、またしてもそいつはやって来た。

 

「お客さん!電話にはちゃんと出てくださいよ!!」

 

 

「えっ!あっ、、ごめん。。」

 

 

不意すぎて何も考えられなかった。

(まじかこいつ、、それ絶対わざわざ言いに来なくていいやつじゃん、、!)

 

戸惑っている僕を尻目に山崎は戻って行った。結局、最後の曲は途中で演奏中止した。

 

(ポニシュも聞かれた、、なんか怒られた、、くうう、、、!!)

 

 

会計の時も、無感情で行くつもりが、さっき怒られたせいでどんよりした感じが強く出てしまった。

 

「またのお越しをー。」

 

山崎の言葉に僕はニコッと返して店を出た。

 

(、、、これからは別の店に通おう、、)

 

僕はその店のポイントカードを財布から抜き、帰路についた。